花札とは
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花札(はなふだ)は、1年12か月の花や草木を月ごとに4枚ずつ描いた、48枚からなる日本のかるたです。札に数字はなく、絵柄を見れば同じ月の札がわかります。遊び方の多くは同じ月の札を合わせて取るもので、2人で遊ぶ「こいこい」もその一つです。このサイトでは、こいこいのルールを紹介し、実際に遊べるようにしています。
松に鶴1月 桜に幕3月 芒に月8月 柳に小野道風11月 桐に鳳凰12月
「花札」という名前
「花札」は「花」と「札(ふだ)」を合わせた言葉です。任天堂の解説でも、花札は「日本のかるたの1種で、『花かるた』とも呼ばれます」と紹介されています。[1]「かるた」は、カードを意味するポルトガル語の「carta」から来た言葉です。16世紀、南蛮貿易をきっかけにポルトガル人がカードを日本に伝えたことの名残です。[6]
花札にはほかにもいくつもの呼び名があります。「花合わせ(はなあわせ)」は遊び方の名前であると同時に札の別名でもあり、初期の木版刷りの花札は「武蔵野(むさしの)」の名で売られていました。今の標準の図柄は、明治時代に流行した遊び方「八八(はちはち)」にちなんで「八八花(はちはちばな)」と呼ばれます。花札で遊ぶことは「花札を引く」「花札を打つ」ともいいます。[6]英語では「flower cards(花のカード)」と訳され、韓国では同じ札を「花闘(ファトゥ)」と呼びます。[10]
48枚の札のしくみ
花札は12の月に分かれていて、月ごとに同じ草花を描いた札が4枚ずつあります。1月は松、2月は梅、3月は桜と続き、12月は桐です。[1]札には数字もマークもないので、描かれた草花で月を見分けます。まずは次の12枚で、月と草花の組み合わせを覚えましょう。
1月松 2月梅 3月桜 4月藤 5月菖蒲 6月牡丹 7月萩 8月芒 9月菊 10月紅葉 11月柳 12月桐
札は、草花といっしょに何が描かれているかで4種類に分かれます。鶴や満月のように大きな主題を描いた光札(ひかりふだ)が5枚、動物や道具を描いたタネ札(たねふだ)が9枚、枝に短冊(たんざく)を掛けた短冊札が10枚、草花だけのカス札(かすふだ)が24枚です。花合わせなどの古い遊び方では種類ごとに点数が決まっていて、48枚の合計は264点になります。[6]点数は、昔の貨幣の単位にちなんで「文(もん)」と数えることもあります。
| 種類 | 読み | 点数 | 枚数 |
|---|---|---|---|
| 光札 | ひかりふだ | 20点 | 5枚 |
| タネ札 | たねふだ | 10点 | 9枚 |
| 短冊 | たんざく | 5点 | 10枚 |
| カス札 | かすふだ | 1点 | 24枚 |
札を合わせて取る遊び方では、この種類がとても大切です。得点のもとになる役(やく)が、札の種類をもとに組み立てられているからです。こいこいの役には、光札を集める役、猪・鹿・蝶の3枚でできる猪鹿蝶(いのしかちょう)、文字の入った赤い短冊3枚の赤短(あかたん)、それにタネ札5枚、短冊5枚、カス札10枚でできる役などがあります。こいこいは役だけで得点を数え、札の点数は合計しません。
札は縦5.4cm、横3.2cmほどと小さく、トランプより厚くて硬いのが特徴です。裏は模様のない黒か赤が一般的です。人物が描かれているのは、11月の光札「柳に小野道風」の1枚だけです。[10]48枚すべての絵柄と意味は、花札48枚の一覧で月ごとに紹介しています。
遊び方の基本:同じ月の札を合わせる
花札の遊び方の多くは、場に並んだ札を同じ月の札で取っていくものです。[13]このゲームのこいこいでは、2人に手札(てふだ)を8枚ずつ配り、場札(ばふだ)を8枚表向きに並べ、残りの24枚を裏向きに重ねて山札(やまふだ)にします。自分の番には手札から1枚出し、場に同じ月の札があれば2枚とも取ります。なければ、出した札を場に置きます。続けて山札を1枚めくり、同じように合わせます。[2]
- 1. 手札から出す3月の「桜のカス」を出します。
- 2. 場札と合わせる場札のうち同じ3月の札は「桜に幕」だけ。この2枚が合います。
- 3. 取り札にする2枚とも自分の取り札になります。合う札がなければ、出した札は場に残ります。
同じ月の札が場に2枚あるときはどちらを取るかを選び、3枚あるときは4枚まとめて取ります。取った札は表向きにして自分の前に並べ、その組み合わせで役を作ります。こいこいでは、役ができた人がその番の終わりに、そこで勝負(しょうぶ)して得点するか、「こいこい」と宣言してさらに大きな得点を狙うかを選びます。こいこいをすると、そのあいだに相手が役を作って上がることもあります。1手の流れはこいこいのルールで、役は役一覧でくわしく説明しています。
花札の遊び方の種類
花札は特定のゲームの名前ではなく、トランプと同じように、いろいろな遊び方に使える札の名前です。日本でよく遊ばれている遊び方を表にまとめました。
| 遊び方 | 人数 | 使う札 | 得点のもと |
|---|---|---|---|
| こいこい | 2人 | 花札 | 役だけ |
| 花合わせ | 3人 | 花札 | 88点を基準にした札の点数と役 |
| 八八 | 3人 | 花札 | 88点を基準にした札の点数と役 |
| おいちょかぶ | 親と子で勝負 | 主に株札(別の札) | 合計の1の位(9に近いほど強い) |
こいこい
こいこいは2人で遊ぶ花札の遊び方で、相手より早く役を作ることを目指します。[1]役ができたあとも勝負を続けるときに「こい(来い)」と宣言することから、この名が付きました。[9]得点になるのは役だけで、札の点数は数えません。任天堂はこいこいを「花札で一番有名な遊びかた」と紹介しています。[1]花札の遊び方としては新しく、一般に知られるようになったのは1950年ごろといわれます。[8]
花合わせ
花合わせは3人で遊びます。親(おや)・胴二(どうに)・ビキの順に札を出し、手札は7枚ずつ、場札は6枚です。同じ月の札を合わせて取るところは、こいこいと同じです。最後に、取った札の点数を88点と比べ、そこに作った役の点数を加えて得点を計算します。[3]任天堂は、札を8か月分に減らして2〜4人で遊ぶ「ちょっと、花合わせ」と、12か月分すべてを使って2〜5人で遊ぶ応用編という、独自の簡略版も紹介しています。[1]
八八
八八も3人で遊びます。こいこいと同じく役を作ることを目指しますが、ルールが加わるぶん難しく、任天堂は難易度を星4つとしています(こいこいは星3つ)。[1]名前は点数に由来します。48枚の合計264点の3分の1にあたる88点を基準にして、それより多く取ったか少なかったかで得点をやり取りします。明治時代に大流行した遊び方です。[7]この遊び方のために作られた八八花が、今の花札の標準の図柄になりました。[6]
おいちょかぶと株札
おいちょかぶは、札を合わせて取るゲームではありません。親と子が勝負し、札の数の合計の1の位が9に近いほど強い、バカラに似たゲームです。[6]ふつうは花札ではなく、1から10までの札が4枚ずつ、計40枚の株札(かぶふだ)を使います。[11]任天堂も、花札とあわせて株札を販売しています。[4]花札で遊ぶ場合は1月〜10月の札を1〜10として使い、11月と12月の札は使いません。[13]そのため、札を見てすぐに月がわからないと遊べません。[6]
海外の花札
韓国の花闘は、プラスチック製の札が主流です。11月と12月が日本とは入れ替わっていて、桐が11月、柳が12月の札になります。[10]人気の遊び方は「ゴーストップ(고스톱)」で、ふつうは2〜3人で遊びます(4人で遊ぶ変則ルールもあります)。1960年代に生まれ、1970年代に大きく広まりました。一定の点数に達したら「ゴー」で続けるか「ストップ」で上がるかを選ぶところは、こいこいによく似ています。[12]ウィキペディア日本語版では、ゴーストップはこいこいをもとにしたゲームとされていますが、カルタ研究者の江橋崇氏は、逆に現代のこいこいのルールがゴーストップの影響を受けたと指摘しています。[6][12]
ハワイには日系移民とともに花札が渡りました。遊び方は3月の桜にちなんで「さくら」、また「肥後花(ひごばな)」と呼ばれます。[13]肥後花の名は、移民に熊本(肥後)出身の人が多かったことによるものです。点数の数え方も独特で、短冊札が10点、タネ札が5点と日本とは逆になり、カス札は0点です。第一次世界大戦後に日本の委任統治領となったパラオでも、花札は「ハナクダ」の名で今も遊ばれています。2〜4人で遊び、4人のときは2対2のチーム戦になります。[6]
花札の歴史をかんたんに
日本にカードが伝わったのは16世紀半ばのことです。天正年間(1573〜1592年)ごろには国産化され、ポルトガル式の48枚のカードを写した「天正(てんしょう)かるた」が作られました。江戸時代にはカルタを使った賭博がたびたび禁じられ、18世紀後半には48枚の花かるたが木版で刷られて売られていました。禁令をかいくぐるため、一部の札に古歌を書き入れて歌がるたに見せかけたのが花札の始まりだ、というのが通説です。一方で、1890年(明治23年)刊行の『温古の栞(おんこのしおり)』には、花かるたは享保(きょうほう)年間(1716〜1736年)に作られ、はじめは武家の女性たちが楽しむ遊びだったと記されています。[6]
松に赤短「あかよろし」 桜に赤短「みよしの」 柳に小野道風11月の光札
明治に入ると、1880年代半ばに花かるたの販売が認められます。1886年ごろには、11月の光札の人物が平安時代の能書家・小野道風(おののとうふう)に描き替えられたと伝えられています。やがて八八花が全国の標準になりました。[6]1889年には山内房治郎が京都で花札の製造を始め、これが今の任天堂になりました。[5]こいこいはさらに新しく、20世紀に入ってから広まった遊び方です。[8]その間に花札は、韓国やハワイ、パラオにも渡りました。くわしくは花札とこいこいの歴史で、南蛮渡来のカードから1902年の骨牌税(こっぱいぜい)まで、順を追って紹介しています。
花札をはじめるには
花札を持っていなくても、遊んだことがなくても始められます。おすすめの順番は次のとおりです。
- 12の草花を覚える。上の12枚だけで遊び始められます。何回か遊ぶうちに、自然に覚えられます。
- こいこいのルールを読む。役の一覧を手元に置いて遊ぶと安心です。このゲームでは、合わせられる札が光って見えます(設定でオフにもできます)。
- コンピュータと練習する。コンピュータとの練習は、アカウントなしで遊べます。
- 友達を招待する。友達とのオンライン対戦は、Googleでログインして部屋を作り、招待リンクを送るだけです。
このゲームの対戦は、6回戦か12回戦から選べます(どちらかの持ち点がなくなると、その時点で終わります)。任天堂のルールでは12回戦です。[2]
参考文献
- 歴史・遊びかた|花札・株札、任天堂、「花かるた」という呼び名、札の構成、遊び方ごとの人数と難易度
- こいこい|花札の歴史・遊びかた、任天堂、任天堂のこいこいのルール(1手の流れ、12回戦、7点以上で2倍)
- 花合わせ|花札の歴史・遊びかた、任天堂、3人で遊ぶ花合わせ
- 花札・株札、任天堂、任天堂が販売している花札と株札
- 会社の沿革、任天堂、1889年の花札製造の開始
- 花札、ウィキペディア日本語版、別名、札点の合計264点、歴史、かぶ系の遊び方、ハワイとパラオの花札
- 八八、ウィキペディア日本語版、名前の由来になった基準の88点
- こいこい、ウィキペディア日本語版、こいこいが広く知られるようになった時期
- こいこい(精選版 日本国語大辞典)、コトバンク、「こい」と宣言することから付いた名前
- Hanafuda、ウィキペディア英語版、札の大きさと裏面、韓国の花闘
- Karuta、ウィキペディア英語版、株札の構成
- Go-Stop、ウィキペディア英語版、人数、「ゴー」と「ストップ」、成立の時期(韓国国立民俗博物館と江橋崇を引用)
- Games played with Flower Cards、John McLeod、pagat.com(英語)、合わせて取る遊び方、花札でのかぶ、ハワイのさくら